地方議会に期待されること

松本市長選挙に立候補し落選してから3か月。4期目の菅谷市政がスタートして初めてとなる定 例市議会が、きょうから始まり、一市民として傍聴してきました。

午後1時から開かれた本会議の傍聴者は、マスメディアを除くと6人。4期目の所信を表明した 菅谷市長は、「懸念されるのは市政のマンネリ化。新たなスタート台に立つつもりで、緊張感と スピード感を持って改革に取り組む」と述べました。そして、「最も取り組みたいのは、経済の好 循環の創出だ」と力を込め、「経済の活性化が松本市の税収増につながり、それが医療・福祉・ 子育てなどの財源になり、地域経済の好循環が実現する」と述べました。さらに、長野県が松本 空港の国際定期便就航を目標に掲げたことについて、「私たちの要望に沿ったものだ」と評価し、 「スピード感とスケジュール感を持って具体的に取り組むことを期待している。松本市も県と共に 積極的に取り組んでいく」と述べました。自分が選挙で主張したことと重ね合わせながら、菅谷 市長の言葉に耳を傾けました。

続いて開かれた「議員全員協議会」。これは、本会議と違って法律で定められていない非公式の 会議ですが、議員全員が参加して重要な案件について行政側と協議を行う場です。松本市議会では 一般に公開されていますが、マスメデイア以外の傍聴者は、僕だけでした。そんな中で、ここに 急きょ提案されたのが、懸案となっていた「松本市立博物館」の移転場所でした。

地方議会に期待されること


国宝・松本城の史跡の中にある松本市立博物館は、文化庁から移転を求められ、いわゆる三の丸 地区のどこかに移転し整備することで検討が進められていますが、具体的にどこに移転するかは 明らかにされていませんでした。行政側が配布した資料で示したのは、こちらの写真の松本市営 駐車場の敷地。
 
地方議会に期待されること

議員の1人が、「きょうが議会初日なのに、1時間前にいきなり示されて、ここで結論を出すと 言うのか」と問い質すと、「全体としてこうした方針で進めることに、きょう御理解をいただき たい」との答え。「この場所に決める前に他の土地を検討した経緯を聞きたい」「代替駐車場の メドもはっきりしないではないか」と問うても、「総合的に検討した結果」と答えるだけでした。 さらに、この議員が、「これで議会が認めたというような手法で、行政を進めるべきではない」 と詰め寄りましたが、最後に行政側が、「まずは議会に大筋で認めていただけるかどうか。それ を踏まえて住民の同意を取り付けていきたい」と述べると、それを議長が引き取り、議会として 「了承」したことになりました。建設費およそ100億円の「松本市立博物館」の移転場所は、 1時間ほどの協議で議会のお墨付きを得た形になったわけです。

日本の地方自治体は、首長と議員を共に直接選挙で選ぶ「二元代表制」です。しかし、国と違い、 地方議会は、最高機関でも唯一の立法機関でもなく、首長の権限が強力なため、多くの自治体で 存在感が薄いのが現状です。それでも地方議会に期待されることは、民意を背に緊張感を持って 行政と対峙し、行政の決定過程や費用対効果を詳らかにしていくことではないでしょうか。


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