動き出す 松本の中心市街地再生
6月市議会の初日に開かれた議員全員協議会。「松本市立博物館」の具体的な移転場所と共に、 松本市がもう1つ明らかにしたことがありました。松本のメインストリートと松本城の天守閣を 遮る形で建っている「八十二銀行松本営業部」のビルの移転です。
松本市民であれば誰もが知っている焦げ茶色の外観のビルは、本町通りから千歳橋を渡り、その まま直進すると道路がぶつかってしまう場所に建てられています。実際には、道路はビルを避ける ように曲がり、その先に松本城の姿が見えるような位置関係になっています。
このような変則的な形になっているのは、ここが江戸時代まで松本城の大手門枡形があった場所 だからで、戦国時代に武田軍が一気に進入できないように築かれたとされています。そうした歴史 を背負う場所に建って商都松本の象徴だったビルも、近年は老朽化が進み、中心市街地の焦点の 1つとなっていました。
きのうの議員全員協議会で、松本市立博物館の移転場所に関連して、議員から「千歳橋から松本 城が見えるようにすることは考えているのか」と問われると、行政側は、「八十二銀行のビルの 移転についても、土地の取得を検討し、銀行側と協議を続けている」と踏み込んだ表現で答え、 協議が進展していることを伺わせました。
もし八十二銀行松本営業部のビルの移転が実現すれば、中心市街地再生のボトルネックになって いたものを取り除く効果をもたらすと思います。移転先はどこになる、そこで何が生まれるか、 1つの物事が動き出すことで心理的なつっかえ棒が外れて、未来の投資を考えようという機運が 広がっていくはずです。
菅谷市長は、きのうの所信表明で、「最も取り組みたいのは、経済の好循環の創出だ」として、 「市役所建設計画」を含めた「将来世代のためのハード整備」に取り組む考えを示しています。 松本市立博物館は、3年後に着工、6年後の2022年開館というスケジュールが示されました。 松本市が、中心市街地の再生に動き出そうとしています。矢継ぎ早に計画を打ち出し、議会で徹 底した議論を尽くし、スピード感とスケジュール感を持って取り組んでいくことを期待します。
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