ミレニアル世代が日本を変えるか
今週日曜の深夜、 NHK・BS1で「激動の世界を行く~若いチカラと政治」という番組が放送され ました。BSしかも夜遅くの番組ということで、観た人は少なかったのではないかと想像しますが、 これからの日本の政治を考えていく上で、非常に示唆に富む内容でした。
中でも印象的だったのは、アメリカの「ミレニアル世代」。
1980年から2000年頃に生まれた彼らは、インターネットが普及した環境に育った最初の 世代で、若いうちからインターネットに慣れ親しんできた「デジタルネイティブ」です。アメリカ では、人口比率が最も高い世代でもあるため、新たな時代を動かす存在として頭角を現してきて います。 その特徴は、 ICTを手足のように使いこなし、世界と繋がっていると実感し、自由や多 様性を重んじる、とされています。この世代は、民主党の大統領予備選挙で、社会主義的とも言え る平等政策を掲げたサンダース氏を支援し続けました。「今後は地域社会に参加し、地域の政治に 関わりたい」そう考える人たちが多いと言います。「ミレニアル世代」は、世代を超えていまの状 況を変えていく力を感じさせます。
日本で「ミレニアル世代」という言葉はそれほど使われてきませんでした。いまの年齢で言えば、 高校生から30代半ばの人たちですが、インターネットの普及に少し時間差があったことに加え、 人口比率が高くないことが大きな理由とみられます。
とは言え、上の世代と違い、スマホや SNSをなくてはならないものとして当たり前に使っている 世代であることは間違いありません。だとすれば、旧いしきたりやしがらみにとらわれず、世界 との繋がりや多様性を重んじる感覚が強いと考えることも、そう不自然ではないと思います。
こうした特徴を感じさせるのが、「ミレニアル世代」のスポーツ選手です。10代前半で島根から単身渡米して世界のトップランカーとなった錦織圭(26)、究極のオー ルラウンダーとして世界大会を7連覇している内村航平(27)、誰もが無理だと言っていた投打 の「二刀流」を易々とやってのけている大谷翔平(22)。共通しているのは、独自の流儀を持 ち、悲壮感や精神論と無縁で、過去に例のない突出した結果を出していることです。このような選 手が、各種目で次々と現れ始めています。日本の社会を変えていく先駆けのような気がします。
では、政治家はどうか。
この人、小泉進次郎氏(35)が、「ミレニアル世代」のトップランナーでしょうか。先日、足 を運んだ街頭演説では、強烈なワンフレーズを残した父・純一郎氏を凌駕するほどの演説力を目 の当たりにし、ポスト安倍に名乗りを上げる日もそう遠くないだろうなあと感じさせられました
いつの時代も、「今の若い人は政治に関心を持たない」と言われます。学生運動が終焉したあと、 安定成長とバブルの時代に育った、僕らの世代こそ、その典型だったように思います。しかし、日 本の繁栄に翳りが見えた時代に育ってきた「ミレニアル世代」の若者は、社会のことや公共的な ものへの関心が潜在的に高いのではないかと感じます。今回の参議院選挙では、若者の投票率が 上がるという結果にならないかもしれませんが、彼らが潜在的に持っている政治への関心を掘り 起こし、彼らを後押しする仕事をしていきたいと思います。
※「激動の世界を行く~若いチカラと政治」は、9日(土)午後1時から NHK BS1で再放送さ れます。
関連記事